寒さ厳しい冬の日本各地で、裸の男たちが厄除け・無病息災を願って集う「はだか祭り」。その勇壮な姿は、古来より日本人の信仰と伝統を象徴する光景として受け継がれてきました。2026年2月から3月にかけて開催される、全国の注目はだか祭りを厳選してご紹介します。
はだか祭りとは
はだか祭りは、裸(またはふんどし姿)の男性たちが寒中に身を清め、厄除けや無病息災、五穀豊穣などを祈願する日本の伝統的な神事です。起源は古く、神道における「禊(みそぎ)」の思想に基づいています。
冷たい水で身を清めることで穢れを祓い、福を得るというこれらの祭りは、地域によってさまざまな形式で行われています。「宝木(しんぎ)」や「御福木」を奪い合う争奪戦形式、川を渡って身を清める「みそぎ」形式など、それぞれの土地の歴史と信仰が色濃く反映されています。
2月のはだか祭り
節分の日|宝光院・はだか祭(岐阜県大垣市)
毎年2月3日の節分に行われる「宝光院・はだか祭」は、一年間の災いと厄を払い、厄除開運を祈願する伝統行事です。
祭りの最大の見どころは「みそぎ川渡り」。不動明王の御布札を身にまとった「心男」を中心に、厄年を迎える男性たちが「宝光院裸祭」と書かれた六尺ふんどしをつけて、冬の杭瀬川を渡ります。人生の苦難を乗り越えることができると言われ、参加者は真剣な表情で川に入ります。
その後行われる「福徳利剣木授与」では、福を得られるという利剣木が入った福俵を男性たちが奪い合う、勇壮な光景が繰り広げられます。当日は終日豆打ち式も実施され、大垣駅から宝光院までの臨時バスも運行されます。
当日のスケジュール
- 午前8時:ご祈祷開始
- 終日:豆打ち式
- 午後1時30分:裸男出場
- 午後2時30分:みそぎ川渡り
- 午後2時45分:心男(厄男)遷座
2月第3土曜日|日本三大奇祭・西大寺会陽(岡山県岡山市)
国の重要無形民俗文化財に指定されている西大寺会陽は、500年以上の歴史を誇る「天下の奇祭」です。
毎年2月の第3土曜日の深夜、西大寺観音院の本堂御福窓から投下される2本の宝木(しんぎ)をめぐり、約10,000人もの裸の男たちが激しい争奪戦を繰り広げます。この宝木を手にした者は「福男」と呼ばれ、その年一年の福が得られるとされています。
奈良時代に始まったと伝えられるこの祭りは、国家安穏・五穀豊穣・万民豊楽を祈る修正会と一体となっており、その勇壮な光景は圧巻です。祭りの開始を告げる「会陽太鼓」は女性によって演奏され、心の炎を燃やして男たちを鼓舞します。
見どころ
- 深夜22時の宝木投下
- 約10,000人の裸男による争奪戦
- YouTube LIVE配信もあり
2月第3土曜日|御福開祭・はだか祭(広島県三原市)
広島県内唯一のはだか祭りとして100年以上の歴史を持つ勇壮な神事です。久井稲生神社で毎年2月の第3土曜日に行われ、無病息災を願う約300名の裸男たちが、陰陽二本の御福木を奪い合います。
御福木を手にした福男は、その一年を幸運に恵まれると信じられています。参加するだけでも無病息災が叶うと言われ、中学生から70代まで幅広い年齢層が参加しているのも特徴です。
御福木は陰(紅)と陽(白)の二本が時間を分けて投下され、それぞれ賞金と玄米が副賞として授与されます。「こどもはだか祭」も同時開催され、子供神輿の練り歩きや御福餅まきなど、子供たちも楽しめる催しがあります。
当日のスケジュール
- 午後5時30分:こどもはだか祭
- 午後6時:御福開祭
- 午後8時:和太鼓演奏
- 午後9時:一般はだか祭
3月のはだか祭り
旧暦正月13日|国府宮はだか祭(愛知県稲沢市)
愛知県稀沢市の尾張大國霊神社(国府宮)で行われる「国府宮はだか祭」は、正式名称を「儺追神事(なおいしんじ)」といい、神護景雲元年(767年)から続く悪疫退散を祈願する由緒ある神事です。
祭りの中心となるのは、神籤によって選ばれた一人の「儺負人(神男)」を巡る、裸の男たちによる激しい揉み合いです。神男に触れると厄落としができるという信仰から、多くの裸男たちが熱狂的にぶつかり合います。午後3時から約1時間にわたって繰り広げられるこの揉み合いは、祭り最大の見どころです。
祭りの翌日深夜3時には「夜儺追神事」も行われます。神男に罪穢をつき込んだとされる土餅を背負わせ、境外へ追放するこの儀式は、古来より最も神聖視されています。
また、祭りには約4トンもの巨大な大鏡餅が奉納され、祭りの翌日には切り分けられて頒布されます。この餅を食べると無病息災のご利益があると言われています。
主要スケジュール
- 2月28日 午後1時:大鏡餅奉納
- 3月1日 午前5時:厄除け祈祷受付開始
- 3月1日 午後3時:儺追神事(はだか祭)
- 3月2日 午前3時:夜儺追神事
初午の日|時又初午はだか祭り(長野県飯田市)
長野県飯田市で開催される「時又初午はだか祭り」は、鎌倉時代から伝わる勇壮な伝統行事です。
馬や酒樽を形どった神輿を担ぎ、裸の男性たちが天竜川の冷水を浴びながら力強く競い合う神事が最大の見どころです。家内安全、無病息災、五穀豊穣を祈願するこの祭りは、地域の人々の信仰と伝統が息づいています。
祭りの起源は、領主の小笠原長清が戦勝の感謝と兵士の慰霊のために木馬を時又の長石寺に奉納したことが始まりと伝えられています。勇壮な神輿の担ぎ合いと、冷たい川水に身を清める様は、見る者を圧倒し、地域の活気を感じさせます。
はだか祭りを楽しむポイント
観覧時の注意点
防寒対策をしっかりと
- 2月〜3月のはだか祭りは夜間や早朝に行われることが多く、非常に冷え込みます
- 暖かい服装、カイロ、温かい飲み物を持参しましょう
安全な場所から観覧
- 揉み合いや争奪戦は激しく、怪我の危険があります
- 指定された観覧エリアから安全に楽しみましょう
- 小さなお子様連れの場合は特に注意が必要です
アクセスと宿泊
- 当日は周辺道路の混雑や交通規制が予想されます
- 公共交通機関の利用がおすすめです
- 宿泊施設は早めに予約しましょう
参加を検討される方へ
一部のはだか祭りでは、一般の方も裸男として参加できます。参加を希望される方は、各神社や観光協会に事前にお問い合わせください。参加には一定の準備と心構えが必要ですが、一生の思い出となる貴重な体験ができるでしょう。
まとめ
はだか祭りは、日本人の信仰と伝統が凝縮された貴重な文化遺産です。厳しい寒さの中、裸で身を清め、福を求めて集う男たちの姿は、古来より変わらぬ日本人の祈りの形を今に伝えています。
今回ご紹介した5つのはだか祭りは、それぞれが独自の歴史と特色を持ち、地域の人々によって大切に受け継がれてきました。ぜひこの機会に、日本の伝統文化を肌で感じる旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
各祭りの詳細な開催情報は、上記のイベントカードから確認できます。お出かけの際は、最新情報をチェックして、素晴らしい祭り体験をお楽しみください。



